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第三回ネタバレ円卓会議/ジョー・ヒル「ホーンズ 角」で遊ぼう!【2/談論風発編】

円卓に集結したわたしたち9人…(本当は10人だったけれど、ひとり遅刻しちゃってさ…)

そして、俎上にあるのは「ホーンズ 」(以下「ホーンズ」)。

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ジョーのものした「ホーンズ」。 
まず第一に云えるのは印象として【非常に曖昧】と云う事なんじゃないかな。

円卓会議のご意見番tkr氏は云った。「この本を読みながら裏の意味を妄想するのが楽しくて…」
つまりそれだけ、妄想を働かせる余地があるってことで…

他の参加者からも、現代アメリカ文化に詳しくないと分からない仄めかしや暗喩が沢山ある/ありそうだし、何かを指し示しているようでいて、それが何だかはっきりとは分からず、それは知らないから分からないのかそもそも書いていないからなのかも分からずにもやもや… とか、仄めかしがあっても行く先がない(回収されない)のが気になる、とか、登場人物の性格も何やら揺らいでいてそこがスリリング! など様々な曖昧さに関する意見がでた。

登場人物の性格描写や起こった事件の顛末など視点を変えて何度も描かれるんだけれど、どの場合もそこに客観性が欠けていて、実際には何が起こったのかとか、この人物って本当にこう云う人間だったのかなど話せば話すほどに謎が広がって行くって云うのは珍しいんじゃないかな。

実は、わたしも、円卓会議のために「ホーンズ」を再読していてストーリーが一寸曖昧なんじゃないかと思ったし、更にイグの赤鬼になった姿をイラストに書こうと思って彼の外見に関する記述を探す過程で、登場人物がどういった姿をしているのかもはっきり描かれていないことに気づいたんだよね。 具体的には、イグってどうやら【若いのに髪が寂しく】【山羊鬚を生やしていて】【極度に痩せている】くらいしか発見出来ず、リーに関しても同様で、彼らの絵を描くのに困ったのだった。

そして、アメリカンカルチャーに関連するんだけれど、【ロック】に対する知識がないと辛い… っていうのが一致した意見だった。

■登場人物に関して。

主人公の赤鬼イグ… 彼って、有名人一家の中のみそっかすみたいな存在で非常に善人である筈なのに、何故か物語の中での人物評価が低いのが話題に上った。確かに、そう。彼は強姦殺人の容疑者で証拠不十分でお縄にならなかっただけとコミュニティの中で目されている訳だけれど、何故誰も彼を信じてくれないのか…が謎なのだ。子どもの頃から「気味が悪い」と母親に思われていたって云う記述すらあるから、一見そういう風に見える人だったのかもしれないけれど(所謂オタク?)、それにしても、だからと云って「地獄」の章での仕打ちはあんまりかな。

読者から見ての主人公としての魅力と云う点でも「イグの良さが分からない」「鬼になってからの迫力もない」「うっとうしい」など辛口意見が多数噴出。敵役のリーが「フィクサー的イメージでカッコいい!」「月を修理するとか何者?!」「クール!」「鬼の好敵手としてもっと活躍するのかと思ったのに… ガッカリだ!」と大人気だったのと好対照なのである。

メリンは謎の女… 前段にも書いたけれど、彼女の行動には謎が多く、本人が亡くなっているためにイグの側、リーの側、テリー(イグの兄)の側とそれぞれ違う視点から【彼らが「こうだ」と思うメリンの姿】が描かれているに過ぎないのがポイントである。ラスト近く、ありがちな純愛ドラマ的に彼女の謎の行動の回答が一応は示されているけれど、「実はビッチだったんじゃないか?」と云う推測もあながち間違いではないかも知れない。

■物語に関して。

ホーンズ」は【地獄】【チェリーの木】【炎の説教】【修理する者】【ミックとキースによる福音書】の5つの章からなる長編小説だが、章それぞれが独立した短篇小説とも取れる作りとなっている。そして、章ごとに(また章の中でも)時系列が錯綜していて【地獄】が現在、次の【チェリーの木」は過去と云った具合に入り組んでいるということを未読の向きには前提としておいて欲しい。

今回の参加者の間では、最初の章【地獄】の人気が非常に高かった。救いのなさと勢いのある展開で印象的かつリーダビリティの高さが凄い。「勢いがあって好き」「カフカみたい」「内容が重く読むのが辛かった」などの感想が出た。ところが次に続く【チェリーの木】が一転、イグとメリンの出逢いを描くポエティックな章となっており【地獄】との差に戸惑いを覚えたと云う意見が多かった。この章はまるでキングの作品を読んでいるようなノスタルジックなイメージであり、まさにキングの代表作「IT」を彷彿とさせるエピソード/「新聞紙で作った船」/などが散見されると云う指摘があった。【地獄】の章を読んで既に起こった事件に関しての情報があるだけにイグとメリンの純愛に切なさを感じたという感想もありつつ、しかし、ここで「物語が失速」と見る人もおり、第一長編の「ハートシェイプト・ボックス」も最初の盛り上がりから一転して失速というパターンだったので、これがこの人のスタイルなのでは? と云う鋭い意見も…

物語のまとめ方としては、最後に明らかになるメリンの状態に関して、こう云う話に落とし込んじゃうの? と云う否定的な意見もあり、一方、こう云う今更な話に落とし込んで、尚かつ、それを読ませる話に持ってゆく力量に感心した!と云う意見もありの賛否両論だった。

個人的には、短篇風の仕上がりになっていることで、各章の繋がりがなくひとつの物語として寸断されているような気がしていて、いっその事、思い切って連作短篇のようにしたらいいんじゃないかと思ったのだった。
キングの作品も過去と未来が行き来する構成であることが多いが、正直に云って「ホーンズ」は圧倒的に分かりにくい。まだまだ父親の域には達していないな… と意地悪にも思ってしまうのである。(比べたからってどうにかなるってことでもないしそんなことしても無駄だと分かっているのだが人情としてつい比べちゃうのだった)

→【3/トリビア編】に続く… 
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