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到達点という意味に於いての「ほぼほぼ」

最近、非常に気になっている言葉… 「ほぼほぼ」。
発音は、平板アクセントで一気に「ほぼほぼ」。

この言葉を初めて聞いたのは、多分、昨年の晩秋の頃だと記憶している。 シチュエーションとしては、とある会議の際、広報チームの課長が何か広報に関するスケジュールについて発表している時に「?は「ほぼほぼ」確定しており…」と云ったのである。 一体なんだろう「ほぼほぼ」って? ああ、「ほぼ」じゃなく「ほぼほぼ」? 初めて聞いた! そう思わずににいられない珍奇な語感の非常におかしな言葉だったので、印象深く感じられた。 もしかしたら、彼女はもっと前からその言い方をしていたのかも知れないが、わたしがそれについて「ん?」と思ったのはそれが最初だった。 しかし、それを契機によくよく注意して聞いていると、実はその時点で既に、社内全体で「ほぼほぼ」が使用されているらしい事に気付いたのだ。 
 
知らない間に「ほぼほぼ」は社内に蔓延していた。
件の広報課長の言は、多分、水面下では盛んに使われていた「ほぼほぼ」が、ついに公共の場でも使われ始めた事を示す出来事だったのである。
 
多分、花粉症やファッションの流行と同じように、臨界点に達したそれが溢れ出た、と云うのが真相なのだろうが、如何せんこの言葉… 語感も変なら、字面も変。 とにかく、何もかもが変なのである。
 
「ほぼ」じゃなく「ほぼほぼ」。
 
詰まり、「ほぼ」だけでは伝え切る事の出来ない何か重要なニュアンスが「ほぼほぼ」と云う言葉には込められている筈なのである。 ところが「ほぼ」を「ほぼほぼ」と言い換える事によって「ほぼ」だけでは表現出来ないどんな意味を付け加えたいのかが今ひとつ解せなくはないか。 「ほぼ」ではなく、わざわざ「ほぼほぼ」と云わなければならないその意義は何処にあるのか?

そもそも、何かが「完成に近づいた状態」「そろそろ完了しそうである状態」であることを表すのが「ほぼ」という言葉である。 それでは「ほぼほぼ」は… と云うと?
 
何か、やり遂げなければならない事があって、それが完成に近づいた
→「ほぼ、出来ました」に対して…

1 より完成に近づいた=「ほぼ」よりも完成しているが、まだ完全ではない。
2 ほぼ完成に近づいた=「ほぼ」よりも完成に遠く、まだ「ほぼ完成」に至っていない。
 
…という二つの異なったベクトルでの意味の付加が考えられるのだ。

1の場合は、「ほぼ」ではない、ほぼよりも進んだ状況を表す「ほぼほぼ」という状態になった… という事であり「ほぼほぼ」は「ほぼ」よりも程度が進んでいる事を表す新語と云う事になる。 2の場合は、第一の「ほぼ」を、第二の「ほぼ」が修飾する形であり、「ほぼほぼ」は「ほぼ」に「ほぼ近づいた」という状態である… という事を表す新語だと云う事が云える。

従って「ほぼ」と「ほぼほぼ」を数量的に考えた時に、
 
「ほぼ」<「ほぼほぼ」なのか
「ほぼ」>「ほぼほぼ」なのか
 
そのどちらを云いたいのかが、全く以て不明確なのである。
 
言葉の自然な流れから云うと、2であるように思われるのであるが、しかし、実際には1であるような捉え方をする場合が多いのではないか? 
 
だって… 「ほぼほぼ」は「ほぼ」より「ほぼ」が多いんだもん。
だから、「ほぼほぼ」は「ほぼ」なんかよりも、凄いんだってば。
 
しかし、よく考えてみると、「ほぼほぼ」が「ほぼ」より「どういう風」に凄いのかは判別不能なのである! もしかしたら「「ほぼ」よりももっと進捗している」と云う意味で凄いのかも知れないが、一方では「「ほぼ」と云えるまでには進捗していない」という点で勝っているのかも知れないのである!  
 
一体どっちなんだ!

 
ん? そうか… ここで、見えて来た事がある。

実は、この「ほぼほぼ」と云う言葉とは、「ほぼ」よりも進捗状況が良いのか悪いのかを巧妙に隠蔽しうやむやにしとことん曖昧にし誤摩化すことに主眼を置いた、宮仕えの身には非常に便利な言葉なのではあるまいか?
 
成る程… 社内で蔓延するのも宜なるかな… なのである。

 
わたしも身の程をわきまえて、何事も程々にしておくことに如くはないのである。
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2008年01月27日 | Comments(4) | Trackback(0) | 言の葉
コメント
ホドホド
 「程々」は「繰り返しによる強め」じゃありませんね。
 甲州弁の「げにげに」は「げに」の繰り返しによる強めです。
 ほぼほぼ…そういう卑怯な語は嫌いですが、この手の繰り返しは「まずまず」とか「そこそこ」とかに近いのかも知れませんな。明確に定義するのはほとほと困難というわけですか、はいはい。
そんぴ URL 2008年01月27日 22:48:42 編集
ほぼほぼどころか…
…いまいま(今々)という言葉も存在するようですよ。
 
びっくりびっくり。
 
人は一体何処まで曖昧になれば気が済むのでしょうか… 
 
こわいこわい。
ユイー URL 2008年01月28日 23:03:12 編集
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  2011年02月24日 15:00:49 編集
大爆笑!
はじめまして!

新しい上司になって早2年。
かなりの頻度で使ってます、うちの上司!しかも女性部長です。
同僚とこのブログ見つけて、読んで大爆笑!
なるほど~~とただただ感心!
暗い職場なのに大笑いしちゃいました!

確かに進捗をさらに誤魔化す時に使ってますね~。特にその上の上司に報告する時。
話しの相手はどの様に受け取っているんでしょう?この「ほぼほぼ」

私達に使う時は、無理矢理、終わっているかのように見せかけるため、
「ほぼほぼ終わってるんでしょ?」と良く言われます。

本当に楽しい記事をありがとうございました。
ちょっとすっきりした感じ!
そらむら URL 2011年11月21日 10:42:16 編集

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