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三つのキセツ/三題噺 秋・帰宅時間・1・5と8

「もう、アキなんだな…」

私は家路を急ぐ足をふととめて、青く高い空を見遣った。 帰宅時間の設定は、今のキセツだと丁度1・5、マナツの8に比べると随分と早い。 ヒザシの時間設定も3までだから、当然と云えば、当然だ。 おや、もう、2・3になっている… 急いでキタクしなければ。 私は足を速めた。

しかし、以前から不思議に思っていたのだが、ハルとかナツとかアキとは、そう… キセツとは一体なんなのだろう? それに、昔むかしのお伽話に出て来るもう一つのキセツ「フユ」というものがこの世界からなくなったのは一体何故なのだろう。 ヒザシの時間が長くなったり短くなったり、空の高さや色が変わったりすることが、殊更に言い立てる程の事なのだろうか? しかし、昔のショモツを読む度に、私の心に湧き立って来るこの気持ちは一体なんなのだろう。 ハルの暖かさとは? ナツの眩しいヒザシとは? アキのユウヤケの茜色とは?

そう云えば、私は嘗て… ハテノカベまで行ってみた事が有る。 ハテノカベに近付く事はオトナ達が随分と嫌っていたけれど、私は無鉄砲なコドモだったから…。 私は、ハテノカベが本当にそこにあるとは信じられなかったのだ。 何故ならば、この世界は丸い筈だろう? ショモツにはそう書いてある。 だから、私はハテノカベに触れた時、何とも言えない気分を味わった。 私は時折思い出す。 あのハテノカベの何の凹凸もない感触、そして、触れた指先の何と冷たかった事か。

私は、あれ以来ハテノカベに近付いた事はない。

カンピョウキとは何だろう。 そして、ヒョウガキとは? ハテノカベに灯を近付けた時に見えた、あの白い世界は何だったんだろう。 
ああ… そろそろ、3だ。 真っ暗な闇が訪れる前に、キタクしなければ。 一般市民がヨナカに出歩いているのを見付かったら大変な事になるらしいから。 

「そろそろヨルか…」 もう、ヒザシが終わりヨルが始まる時間だ。

私は、ジタクのドアに手をかける。 そして、思いを馳せるのだ。 ヨルの空に光るという、ホシやツキと云うものに。 

そして、一際美しいと云うアキの空のユウヤケと云うものに。
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