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ほうとうの季節

 
何の気なしにNHK教育テレビにチャンネルを合わせると、そこには、何となく見慣れた饂飩が映し出されていた。
 
もしかして、これは山梨の饂飩ではなかろうか。
所謂、おだら?
 
否… どうも、これは「ほうとう」にまつわる紀行番組らしい。
 
そうなんだよ… 夏はほうとうのシーズンなのだ。
農繁期の忙しい農家のお母さん達は、料理の楽なほうとうを夏の夕食に選ぶのだ。
だって、入っている野菜も夏の香りだもん。 南瓜とか茄子とか。(個人的に南瓜のほうとうは甘くなっちゃうから嫌いなんだけど)
 
画面では80歳くらいのおばあちゃんが一生懸命ほうとうの麺を打っている。
 
太い丸太から削り出して作るこね鉢
こね鉢を床に置いて地粉を捏ねる姿
のし棒にのし板
器用に生地を伸ばしてのし板の上で包丁を鳴らす

懐かしい…

古い農家である私の実家では、わたしが子供の頃にはおばあちゃんが当たり前の様にほうとうを打ってくれたものなのである。 画面に映っているおばあちゃんが、亡くなった祖母の姿と重なる。 
 
買った麺なんかでは決して出ないあのとろみ。
それが、アップで捉えられた作り立てのほうとうを映し出す画面から伝わってくる。
 
喰いてぇ…
 

そして、次は「おだら」。
 
おだらっていうのは、太めの饂飩を冷たい水で締めたものを暖かい醤油仕立てのお汁で頂く甲州独特の饂飩である。 何故か「夏のほうとう」という紹介の仕方だったが、個人的には決して「おだら」は「ほうとう」の一種なんかでは「ない」んじゃないかと、画面に向って突っ込みたくなる。
 
やっぱり、「おだら」は人が大勢集まるときの食事… なんじゃないかな。
 
汁を暖かく保つ事はそれ程難しくないけれど、そこに、最初から饂飩を入れてしまったら、大勢の人間に供しているうちには、饂飩に火が通り過ぎたり、のびたり、冷めたりしちゃうもんね。 それだったら、汁だけを熱々にして、饂飩は冷たく締めたものをそれぞれに美味しく食べた方が良い… ってんで、あのような形式になったに違いない。
 
その証拠に、「おだら」に最もお目に掛かる機会が多かったのは「お葬式」とか「法事」とか、大勢の人が家に集まるときだもん。 これも、過去形なのが一寸寂しい。 わたしが子供の頃は、どの家も自宅でお葬式をやったから凄く大変だったんだろうな… 祖母も勿論、実家で送り出した。 襖や障子を取っ払って、何畳もの広間を作って…
 
 
最後に登場したのは、「ちぎりぼうとう」。
野菜を醤油仕立ての汁で煮て、そこに小麦粉の生地を千切って入れて行く、所謂「すいとん」であり、多分「ほうとう」の原型なのではないかと云われている料理である。
 
ああ、これも旨いよな。
わたしの実家では、これを「つみだんす」って読んでいた。
意味は解らない。
 
時折、わたしが作ってみる「つみだんす」は、どうしても小麦粉の団子が固くなっちゃって、昔食べたあの美味しい「つみだんす」にはならなかったのだけれど、今日、その謎が解けた。
 
そう! 「つみだんす」を作る時は、小麦粉を捏ねると云うよりも「だら?っ」と流れるくらいに緩く溶く事がコツだったのだ! あそこまで緩く溶くと、わたしが覚えている「つみだんす」の様に柔らかい団子が出来るんだな…
 
 
その他、「ほうとう」の一種である「みみ」とか、昔、私の家でも使っていた饂飩製造器を使って饂飩を作っている姿などを見せられて、思わぬところで郷愁を覚えずにはいられないひとときなのであった。
 
 
夏が来た。

ああ、ほうとうが、喰いてえ。
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