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【トム・ロブ・スミス トーク&サイン会】1/日本語で「こんばんは」

承前 やっぱりここはトム・ロブ・スミスさんにも会いに行くべきなんじゃないか?

9月6日(火)19:00より、丸の内オアゾ丸善に於いて、「チャイルド44」「グラーグ57」を著したトム・ロブ・スミスさんの新刊「エージェント6」の刊行を記念したトークイベントが行われた。
以下はその記録である。
あくまでも手動での記録であり、主観が混在するなど(!)内容が間違っている事も考えられるが、その場合はご指摘をいただければ幸いである。

TRSトーク&サイン会1
↑ 会場内看板

TRSトーク&サイン会2
↑ トム・ロブ・スミス氏


9月6日、18:20頃。
そろそろ開場の前に並ばなきゃ… と思い、丸善3階のエスカレータ横を歩いていると、後ろから来た男性が私を追い抜いて行く。

この後頭部は… もしや… 田口俊樹さんじゃあるまいか? あ、やっぱり!

暫く後ろからついて歩き、話し掛けてみようかしらん? などと一瞬不敵な考えが浮かんだが、いやいや、それはできない内気な私。

俄に降り始めたゲリラ豪雨の最中、丸の内オアゾ内丸善の3階にある日経セミナールームの前には「トム・ロブ・スミス トーク&サイン会」への参加者が十数名並び、静かに開場を待っていた。
かくいう私もその仲間。サイン用に新しく購入した「エージェント6」2冊が入った丸善のビニル袋を握りしめつつ開場直前に現れた友人とともに入室。演台を臨む前から2列めに陣取る。

暫く待機の後、ほぼ時間通りにトークショーは開始された。

アナウンス後現れたスミスさん… 宣伝で見た写真通りの男前なのである。
そして、第一声は日本語での挨拶から!


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以下、トム・ロブ・スミス氏曰く…


コンバンハ! ドウゾヨロシク!

私にとって、日本に来る事には非常に特別な意味があります。
何故ならば、私は、小さい頃から日本に来る事が夢だったからです。それも、ただ単に観光旅行で日本を訪れると云う事ではなく、何かしらの「目的」を持って来日したかったのです。

実は、ケンブリッジ大学を卒業後の進路として、日本での英語教師という選択肢もあったのですが、丁度その時、テレビの仕事で良い話を頂いたため、結局、日本に来る事ができなかったのです。

その後、私は小説を書き始めました。

当時は単に、エージェントもなくひとりで小説を書いているというだけの状態で、その小説「チャイルド44」が本国で出版できるかどうかも解らず、ましてや他言語に訳されることなど考えてもみませんでした。
しかし、「チャイルド44」が出版されて好評を博し、日本でも出版することが出来ないだろうか… と思っていた矢先に、日本からEメールで出版の話が舞い込んで来たのです。(このあたり、メモが不完全です。「日本から先に打診が来た」と仰っていた記憶があるのですが、メモにはその事が書いてありません。もしかしたら間違ってるかも…)この小説が日本で受け入れられるだろうか… そう思いましたが、最終的には契約が成立し、何と、日本へ行きたいと常々夢見ていた私よりも先に、私の書いた小説が海を渡り、日本へと上陸を果たしたのです!

「チャイルド44」は、ソ連時代の連続殺人事件【チカチーロ事件】をモチーフにした小説です。
特定の国の特定の時代に特化した小説なのに、日本をはじめ多くの国々で受け入れられているのには秘密があると思います。
例えば、この小説はイランでも翻訳され、ほとんどカットされる事なく出版することが許されました。
イラン側の翻訳者が、私の原稿を持っていたという事だけで4週間も刑務所に拘留されてしまったことを考えると非常に希有な事だと思わざるを得ません。

思うに、それは「チャイルド44」が人類の心に等しく存在する【善悪】についての物語だからなのではないでしょうか? ソ連の一時代に特化していても、根底に流れている普遍的なテーマがあるから、様々な国で受け入れられているのだと思います。
この小説を書いているとき、私は、こんなとき私だったら人間としてどうするか? と問いかけながら書きましたし、また、イランでこの小説を翻訳してくれた翻訳者も(この普遍的なテーマだからこそ?)イランと云う全体主義国家でこのような全体主義について書かれた本の翻訳をやり遂げる… という私が同じ立場だったら持てない程の勇気を持ってくれたのだと思います。

「チャイルド44」が日本で出版されると、何と「日本冒険小説大賞(註1)」(この賞について全く知らず、ホントにこんな賞があるのかな? と思ってしまいました… 済みません…)という素晴らしい権威ある賞を受ける事ができました。非常な名誉でしたし、その上、沢山の人々に私の小説が知られるようになりました。
もしかして終に日本に行くことが出来るかも知れない、と思いましたが、「日本に行くのが夢」だとは自分からは云いませんでしたし、この時は、来日の夢は実を結びませんでした。

しかし、続編の「グラーグ57」も翻訳され、また、三部作の最後を飾る「エージェント6」も出版の運びとなり、日本へのツアーが現実化しそうになったときに、3月11日の震災が日本を襲ったのです。
私は、心が張り裂けるような思いを味わいました。
そして、ツアーなんてとんでもないし、新作「エージェント6」の出版も延期した方がいいのではないか… と考えましたし、日本へのツアーの件についての話が立ち消えになったように思われました。

ところが、実際には、私自身が「日本に来るのが嫌」なのではないか? と配慮をいただいていたのだと云う事が解りました。それを知った私は、そんな事はない! と伝え、今回の来日は決定しました。
楽しみにしていた来日です。今回は富士山への登山も企画しているんですよ! 私は、ネパールで登山に目覚めた登山愛好家で、是非、富士山に登りたいと以前から思っていたのです。
昔から来たいと夢見ていた日本へ、しかも、思っていた通りに単なる観光としてではなく来る事が出来た事が本当に嬉しいです。しかも、3月11日に日本に大きな災害が起こったその後での来日という事で、更に意義深いものとなったと思います。このような機会を得ることが出来、新潮社に大変感謝しています。

レオ・デミドフついてお話ししましょう。
「チャイルド44」で、レオはイデオロギーの犯罪という大きな壁に阻まれてもあくまでも解決を求めて行動する決して諦めない男でした。それは「グラーグ57」でも同じです。ところが「エージェント6」では、彼が一時、絶望に身を任せることになります。しかし、結局は彼は、降参することが出来ないのです。そんな彼の姿が魅力的に感じるのではないでしょうか。
私は「エージェント6」に於いて、諦めない男である彼に【正しい結末】が訪れることを願っています。


註1/トム・ロブ・スミス「チャイルド44」は2008年度の日本冒険小説大賞、海外部門の一位に輝いています。
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やっぱりここはトム・ロブ・スミスさんにも会いに行くべきなんじゃないか?

ツイッターを眺めていて気が付いた。

あの「チャイルド44」「グラーグ57」の続編が出る。
タイトルは「エージェント6」。

そんで、著者のトム・ロブ・スミス氏が日本にやってくる。

奇しくも(ぜんぜん奇しくもじゃない気もするが)、イベントが行われるのは去年の記念すべきジェフリーの来日イベントが行われたのと同じ丸の内オアゾ内の丸善だ。

オレ1)どうする?
オレ2)いやー、仕事が忙しいしね。
オレ1)え?
    おめえ、また、そんな事云ってやがんの?
    この前、50年に一度だからって、ディーヴァーに会いに行ったろ?
    今度はいいのかよ?

オレ2)でもさー、ジェフリーは昔から大好きで、特別な作家だけどさー
オレ1)うん。
オレ2)トムはなー。まだ、2冊しか読んでないし、別にそんなに特別じゃないし…
オレ1)まあ、そうだけど。
オレ2)「チャイルド44」は好きだけど、「グラーグ57」はなー。
オレ1)まあね。確かに。正直云って、ビミョーだな。
オレ2)だから、今回は止めとく。

オレ1)あ、そ。じゃ、いいよ。別に。


オレ2)へ? いいの?

オレ1)へ? 何。 だって… 今、自分でそう云ったんじゃね?

オレ2)そうだけどさー。50年に一度だよ。

オレ1)また、それか? 大体、50年に一度だっつー根拠でもあるの?
オレ2)否、ないけどさー。
オレ1)だろ?
オレ2)でもさー。もう二度とないよ、こんな機会。
    そう云う意味では、50年に一度ってのは的を射てる。
オレ1)そうだけどね。
    でも、さっき、自分で行かないって決めたんでしょ?

オレ2)何、一度決めたら翻意しちゃいけないっての?
    何でよ、いいじゃん。
オレ1)へいへい。
オレ2)行こうっと。
オレ1)ふん、また気が変わるんでしょ。
オレ2)変わらねえよ。
オレ1)そう? 
オレ2)うん。
オレ1)じゃさ!
    あの超重要な事務処理をさ、そこにぶつけたらいいんじゃない?

オレ2)うん?

オレ1)そんで、会社を休む!

いいねえ!


…という訳で、会社を休み、トムに会いに行くことにしたオレなのであった。


オレ1)良かったじゃん、まだ、本を買ってなくてさ。
    ジェフリーのときはさ…

オレ2)ああ、その事?
オレ1)うん、良かったよね?
オレ2)だけどさ…
オレ1)え?
オレ2)せっかく、その本のイベントに行くのに、その本を読んでいないなんて…
    勿体なくないか?
オレ1)え?
オレ2)やっぱりさ… 読んでないと楽しめないんじゃないの?
オレ1)え?
オレ2)ちょっと、カッパ堂に行ってみようよ!
オレ1)え?

オレ2)ほら、あった!

オレ1)え?

オレ2)これこれ、上下二巻なんだねー!

オレ1)え?

オレ2)これ買うでしょ、読むでしょ。そんで誰かに上げちゃうの。

オレ1)え?

イベント前に上下二巻を読了だ!



そんなこんなで、当日…
会社を休んで超重要な事務処理を終え、ゲリラ豪雨が降る直前にイベント会場入りしたのであった。

ところで、最初に購入した「エージェント6」上下巻。
今の所、貰い手がありません。誰か貰って下さい。

「アンダー・ザ・ドーム」ネタバレ円卓会議(3)年表(修正済み)

九死に一生を得たその後のキングの仕事を
個人的な思い出とともに語る年表
1999年~2011年


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キミぃ、キミの書いたアレね、アレは、えらく間違っとるねぇ… と偉い人(tkr氏)に指摘され、一旦、草稿状態で保存していた「キング年表」を修正の上、再アップしました。

彼曰く… この文章は間違いだらけの上に…

1.文の途中でスペースが入っている箇所が沢山ある。
 (オレは、読みにくいから?とか!の後ろにはスペースを空ける主義なんだよ!)
2.おそらく英文を自動翻訳してそのまま文章にしていると思われる。
 (ネットで検索したものも自分でリライトしてるけど、何か?)
3.言葉の使い方とか、気になる表現はそのままにしておきます。
 (……… オレも、キミのブログの気になる表現はそのままにしておいてます。)

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1999年 6月
キング、メイン州の別荘付近でダッジ・キャラバンにはねられるも、九死に一生を得る。

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2000年
「小説作法」
事故当時執筆中だったノンフィクション。事故後5週間で執筆活動を再開。

「ライディング・ザ・ブレット」
インターネットで配信され、2日間で50万DLダウンロードを記録したと云われている。
個人的にもこの作品をダウンロードして一所懸命に翻訳したものである。しかし、冒頭で死んだと思っていたお母さんが途中生きていて喋りはじめたりするなど、スリルとサスペンスに満ちた読書になった。後に翻訳版が出た時にひとり顔を赤らめたのは云うまでもない。
2002年の日本語翻訳版は、初回2000部のみの限定カバーで発売された。
これが所謂「赤ブレット」である。普及版は「青ブレット」。
時折、ブックオフなどで「赤ブレット」が均一コーナーにあったりすると、「あの時、必死に予約して買ったっけ…」と感慨深いものがある。

→ 追記/「アンダー・ザ・ドーム」ネタバレ円卓会議の席上、彼のtkr氏から教えてもらった(私にとっての)新事実。 実は「ライディング・ザ・ブレット」の赤文字版には2種類あり、それぞれ、赤文字で装画が表紙いっぱいに入っている限定版の「赤ブレット」と、普及版の赤文字だけれど装画が帯を避けた形で小さくなっている「普及版赤ブレット」があることが判明。 ブックオフの100円均一コーナーで見掛けるのは「普及版赤ブレット」なのかしらん… その方がいいんだが。
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→ tkr氏よりのご指摘
「ライディング・ザ・ブレット」
1.BOL限定2000部装幀版
2.BOLオリジナルブルーカバー
3.一般に販売されたバージョン(赤)

「赤ブレット」とか「青ブレット」とか呼んでいるのは、あなたたちだけだと思います。

そーなの? そーかー。

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The Plant/未完 未訳
こちらは、2000年に一章毎にネットで配信された。それぞれの価格は1ドルだったような… ところが、読む人の良心に頼った配信方式が裏目に出て、章が進む毎に無賃ダウンロードが続出、途中で配信停止になるという一連の事件に発展した。当時としては画期的な電子書籍の試みだったのだが… 
お話としてはロジャー・コーマンの映画「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」に似たイメージの作品で、途中まではダウンロードして翻訳しようと四苦八苦した思い出がある。しかし、「ライディング・ザ・ブレット」以上に難しく、殆ど内容は把握できなかったのである…(汗) いつか完成したものを読みたいものである。 あ、勿論、日本語で。 

2001年
ドリーム・キャッチャー」「ドリームキャッチャー」(ナカグロなし)
SSDD!(Same Shit Different Day!)
名作「死体」(*1)や「IT」を思わせる幼なじみ4人組が登場。個人的に贔屓の作品。
冒頭の新聞記事などの抜粋部分で臨場感とわくわく感を煽るのであるが、ここで痛恨の変換ミスがあるのが珠に傷… 「正体不明の【発行】現象」あの間違いは修正されたのだろうか…?

これを書いていて急に思いついたのだが… 
この作品には、多数の「伏線」が張られている。こう云う伏線を張り巡らす手法はキングには珍しいんじゃないかな? 周到に伏線を張ってあり、最後に美しく収束して、合点が行くってのは、アーヴィングの小説のような味わいだ。 例えば、「オウエンのために祈りを」など。
2003年映画化。ラストの「時空警察化」&「怪獣プロレス」に賛否両論で喧しかった。個人的には肯定派。凄く良かったよ、あのラストは!

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→ tkr氏よりのご指摘
*1)「死体」という表現はいかがなものか。
翻訳では「スタンド・バイ・ミー」に統一されているのではないか。

これに関しては、映画のタイトルに引き摺られた「スタンド・バイ・ミー」よりも、やはり原題の「Body」を純粋に日本語に変換した「死体」がタイトルだった良かったのに… と云う自分自身の強い思いを表現するためにもこのままにするんだもん。 ヤだもんね、「スタンド・バイ・ミー」なんて。

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2002年
「回想のビュイック8」
個人的に、ビュイック8に巣食うのは、中編「霧」の怪物たちだと思っている。そして、その怪物たちは暗黒の塔の世界からやってくるのだ、多分。そんなこんなで「ダークタワー」(ナカグロあり)「ダーク・タワー」サークルとしての一面も感じさせる本作。地味な作品だけれど「物語に結末は要らない」という「コロラドキッド」(ナカグロあり)「コロラド・キッド」の思想に繋がる作品なのではなかろうか。

2002年
何もかもが究極的」Everything's Eventual(ここは原題で良いんじゃないのかな?/tkr氏より指摘)/短編集
日本では「第四解剖室」「幸福幸運の25セント硬貨」の2分冊で新潮社より出版された。
梅図かずお先生の「恐怖」に収録されている「奪われた心臓」を思わせる「第四解剖室」だが、こちらは恐怖よりも寧ろコメディタッチ。男と女の異常な出逢いを描いた秀作である。パンツ問題/ブリーフかトランクスか/がツボ。また、「アトランティスのこころ」に繋がりがあり「ダークタワー」(ナカグロあり)「ダーク・タワー」サークルでもある「何もかもが究極的」(大変失礼致しました!)「なにもかもが究極的」は読んでおかなければならないマスト作品。

2003年~2004年
「カーラの狼」「スザンナの歌」「暗黒の塔」/ダークタワー「ダーク・タワー」シリーズ後半
日本では角川時代の最後となった第四巻「魔道師の虹」「魔道士の虹」が執筆されてから後、動きのなかった「暗黒の塔」シリーズ(*2)がキング事故後の心境の変化によるのか、この時期に一気に完結。
日本でも心機一転! 出版社は新潮社に、訳者は風間堅二賢二氏(げげげ! 本当に本当に失礼致しました!)に変わり、第一巻の「ガンスリンガー」からの連続刊行キャンペーンが行われたのは記憶に新しい。個人的には、角川版からの移行時に一部のタイトルが変わったのが残念。「運命の三人」は角川時代の「ザ・スリー」の方が恰好いいと思うし、「魔道士の水晶球」も「魔導士の虹」「魔道師の虹」の方がしっくり来るのではなかろうか?

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→ tkr氏よりのご指摘
*2)文言不一致
「ダーク・タワー」シリーズ
「暗黒の塔」シリーズ

角川書店から出版されていた当初はシリーズ名が「暗黒の塔」だったんです。 だから、ここでは、これで、いいの、だー。

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2005年
「コロラド・キッド」
ダークタワー
「ダーク・タワー」シリーズの角川書店から新潮社への移行に伴ったプレミアムキャンペーンで、シリーズ全ての帯についている応募券を切り取って応募すると非売品のこの本が1万名にプレゼントされる! というものだった。どのくらいの人数が申し込むのかが見えなかったため、応募した後も「もしかして、オレ、ハズレちゃったんじゃないか?」とやきもきしたものである。しかし、豈図らんや、実際に「ハズれた」という人にはお目にかかった事がない。当時のブログにはそれぞれのブログ主のその時のドキドキ感が綴られていることであろう。因みに、2006年の6月頭の頃の出来事なので、検索に役立てて欲しい。

2006年
「セル」
御大久し振りのノンシリーズ… 期待に胸を膨らませて読んだけれど、一寸期待はずれ…
丁度、シャマランの「ハプニング」に近いガッカリ感。この2作品、内容的にも近しいし読んだり観たりした時期も一致しているので、自分の中でセットで記憶されている「ガッカリ兄弟」である。

「リーシーの物語」
翻訳版は松尾たいこ氏の美しい装画が印象的な本作。ダークファンタジーとも云える内容で、例えば、ジョナサン・キャロルの「月の骨」シリーズに似た味わいの作品である。個人的には、これも、余り記憶に残っていない。文字組やフォントに工夫が凝らされているのに全く気づかなかった! というお粗末な読み方をしてしまったのが心残り。

2007年
Blaze/リチャード・バックマン名義 未訳
今回、この年表をつくるために色々調べていて、初めてこの件を知った。
その後、キングを翻訳している白石朗氏からご指摘をいただいたのだが、この件については「リーシーの物語」下巻の訳者後書きに若干の記述がある。以下、訳者後書き(漢字開け)あとがきよりの抜粋。

本書発表の翌年(2007年)には、キングは、1973年にいったん完成していながら筐底に眠っていた長編「Blaze」を、若干の改訂の上、リチャード・バックマン名義で刊行しました。ひとりの不幸な生い立ちの男がふとしたつまづきから破滅にむけてひた走っていくさまを、スピーディかつドライな筆致で描き切った特異な犯罪小説です。

偽名ガンで亡くなったかに思われていたリチャードだが、「レギュレイターズ」で復活したあと、こんな仕事までしていたとは! 読んでみた~い!

2008年
Just After Sunset(*3)/短編集
日本では「夕暮れをすぎて」「夜がはじまるとき」という2分冊で刊行された。今、改めて思うのはこの日本版のタイトルは秀逸だな~ ってこと。どちらも「Just After Sunset」の」訳文として申し分ないじゃないか!
この本に収録されている短編はバラエティ豊か。「夕暮れをすぎて」に収録されている、9・11事件をモチーフにした「彼らが残したもの」(初出はアンソロジー「10の罪業/ブラック」)や「ウィラ」(初出は雑誌「プレイボーイ」)に静かな感動を覚え、そしてまた「夜がはじまるとき」に収録されている訳者の白石氏もお気に入りの「どんづまりの恐怖」「どんづまりの窮地」(失礼致しました!)で「ぎょえ~っ」と驚き… しかし! 個人的には、この作品には臭気が足りないと思うのであった。

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→ tkr氏よりのご指摘
先ほどは、「なにもかもが究極的」だったのに、このたびは原題の「Just After Sunset」になっている。
「Just After Sunset」のカギカッコ余計。

だってさぁ。

文章の内容を読んでみてよ。この原題の「Just After Sunset」をよ、どう訳せば良いわけ?「夕暮れをすぎて」も「夜がはじまるとき」もどちらも「Just After Sunset」なんじゃないよ。
だから、意図して原題のままにしてみたのだよね。
だから、直さないもん。

ところで、原題には鍵括弧をつけないものなの? ふーん…

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「悪霊の島」
本当に久し振りの超大作! この所の翻訳小説出版業界の不況を反映したソフトカバーが哀しい…(そして、装画には「LとRを取り違えるという日本人ならではの過ち」が…)しかし、だからこそ、電車で読むのに優しい重量&この価格に抑えられていると思えば、ありがたい事なのである。
正直に云ってしまうと、この作品はまだまだキング本来の圧倒されるような傑作ではない。この作品についての批評を伺う中で、「内向きの恐怖」という言葉が非常に当を得ていると思うのである。主人公の立ち向かう恐怖が「自分の内側」に向いてしまっているが故に、広がりと云うか… 自由な筆致が望めないのでは? という意見なのだが、確かに。

2009年

「アンダー・ザ・ドーム」
コレこそが、本当に本当のキング渾身の超大作! 「ザ・スタンド」「IT」に次ぐ3番めの分量を誇るこの作品…
本国での刊行前には、登場人物が現状を報告する趣向でのツイッターキャンペーンが行われるなど、時代性に溢れる宣伝手法が印象的であった。いやが上にも高まる期待… その期待に完全に応える素晴らしい記念碑的作品となったのではないだろうか。

Ur/電子書籍 未訳
キンドル用の電子書籍として発表された短編。日本からはDL不可能で、唯一オーディオブックとしてなら手に入るらしい… 「別れた彼女にいい所を見せたくて買ったキンドル… 何故か届いたのはピンク色。そのキンドルには「UR」というカテゴリーがあり、検索すると文豪の未発表の作品が…! その上、「UR」カテゴリーから新聞を購読すると、そこには未来の出来事が書かれていた。」 ってな内容らしい。(ネタバレ?)

2010年
Full Dark, No Stars/短編集 未訳
2010年のブラムストーカー賞を受賞したとの情報が記憶に新しい短編集。
翻訳が待たれる。

Blockade Billy/中編 未訳
野球好きで知られるキングの野球をモチーフにした小説。「謎の投手、ブロッケイド・ビリー(ウィリアム・ブレイクリー)は彼の存在した痕跡を完全に消されてしまった初めての選手である。何故ならば、彼には、暗い秘密あったから。」

2011年

「11/22/63」/長編 未訳
1000ページを越えると云う新作長編。タイトルからも推察される通り、ケネディ暗殺事件がモチーフとなっている。

2012年
The Wind Through the Key Hole/長編 未刊行
あの「ダークタワー・シリーズ」「ダーク・タワー」シリーズの新たな一冊! 現状の第四巻「魔道士の水晶球」「魔道士と水晶球」、第五巻「カーラの狼」の間に位置する物語だと云われている。ローランドたちは出てこないかも? との情報も。

Doctor Sleep長編 未刊行
あの「シャイニング」の続編だと噂される作品。 
前述の「ダークタワー」続編にあたるThe Wind Through the Key Holeと、「シャイニング」の続編にあたるこちらのDoctor Sleepについては、2010年末に「どちらを先に読みたいですか?」というアンケートがキングの公式サイトで行われたのである。総投票数1万1117票。結果は「シャイニング続編」が31票の僅差ではあったが、上回ったとのこと… (私も「シャイニング続編」に投票した)。
内容は…「父親の狂気から逃れたダニーも既に40歳。輝きの能力を使って、高齢者を静かにあの世に導くように手助けをしている…」といった感じらしい。 いずれにせよ、刊行が待たれる2冊である。

そして、未来へ。

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如何でしょうか。
もとの文章に、tkr氏よりのご指摘を反映致しました。

確かに間違いだらけだったのは認めます。
しかし… 重要なありがたい指摘もある一方で、まさに重箱の隅的(叱られたので削除)な指摘も… 

あんまり細かいときらわれるぞっ♪

「アンダー・ザ・ドーム」ネタバレ円卓会議に向けて(2)

先日ご報告した「アンダー・ザ・ドーム」ネタバレ円卓会議に使用する予定のキングの年表作成の続報である。

1999年6月の交通禍により九死に一生を得たキングがその後どんな仕事で私たちを楽しませてくれているのかについての年表である。 一寸個人的なものになってしまったが、それはそれで一興。 現状、テキストベタ打ちの状態なので、少しは飾り気を付けるつもりではあるが、取り敢えずの完成形をFaceBookのグループ【ホンヤクモンスキー】内のドキュメントとしてアップしているので、興味のある向きにはご笑覧あれ。

コチラ→【九死に一生を得た、その後のキングの仕事を個人的な思い出とともに語る年表】

イベントが終わったら、こちらにもアップする予定…

あ! それから、何か間違いがあったらこのブログのコメント欄、Twitter、FaceBook、などで指摘して下さると嬉しいな。

そして…

最近、割と頻繁に顔を出すようになった読書会などのイベントの際、なぜだろう? と気になっていた事に対するアンサーとして、今回の「アンダー・ザ・ドーム」ネタバレ円卓会議では、参加者にそれぞれ名札を用意することにした。 

だってさー、ああいう所に行ってですよ、なんの屈託もなく見知らぬ人に声をかけることが出来るくらいなら、ネットで遊んでなんていませんって。

とにかく、沢山の同好の士がいる中で… もしかしたら、その中にはネット上でハンドルネームやアカウント名だけで知っている「親しい人」もいるかも知れないのに …なかなか話し掛けられない引っ込み思案な私のような人間には、何か切っ掛けが必要なのであり、それがこの「名札」であれば嬉しいな… っつーことなのである。

こちらは、グラフィックデザインのプロである我が同居人に作成して貰った。

これも、主催のtkrさんや参加者の皆様の許可が貰えた場合に限り、このブログ上にアップしたいと思っている。

更に、tkrさんも素敵なチラシを作って満を持してのお出迎えの準備に余念がない様子である。

今回のイベントは一応「読書会」と銘打ってはいるけれど、余り堅苦しくなくざっくばらんに侃々諤々と発言できるカジュアルな会にしたいと思っている。 だって、難しい事は解んないんだもん。 わいわいと「アンダー・ザ・ドーム」に関する熱い思い、重箱の隅をつつくような話、勝手な妄想、決して曲げない自説、トリビア話などをそれぞれが楽しく語る… ってのがいいな。 

侃々諤々でなくてもいいの、喧々囂々でもね。 

そもそも最初は、シェンロンでの飲茶を食べながらの無駄話大会って云うイメージだったしね。(← これ、二次会に設定していますのでお楽しみに!)

それでは、今週の土曜日に迫った「アンダー・ザ・ドーム」ネタバレ円卓会議に向けて一言。

さあ、参加者諸氏よ… 徹夜で再読の準備を。

「アンダー・ザ・ドーム」ネタバレ円卓会議に向けて(1)

キング作品の年表を作っている。

実は… 来たる7月9日、新宿某所に於いて「アンダー・ザ・ドーム」ネタバレ円卓会議が開催される運びとなった。 単なる思い付きからあれよあれよという間に実現したものであり、ユルい会になるであろう事は承知の上… なのだが、鯨を喰いながら行われた最初で最後の実行委員会(tkrさん&オレ)で、余りにも無為無策なのはまずいよね? っつー話になり、それなりにきちんとした「年表」を作ろうか? という合意に至ったのである。

仕切りは第一人者、オーソリティ。
下僕のオレ、年表。

鯨屋での話では、2005年以降の作品でOKっつー合意だったが、いざ、調べてみたら、一寸作品数が少ないんじゃないかと思い、1999年の事故以降の作品を年表化することにした。

しかし、年表なんてすぐに作れると高を括っていたのだけれど、よく考えてみると、本国での発表年と日本で訳出された年とは乖離があるし、順番が狂っている事も考えられるし… やはり本国での発表順に売るのが正しいのか、それともここは日本なのだから、日本での訳出年や順番に合わせるのがいいのか? など、些末な事に悩みつつの作業、しかも、一つ一つの作品のタイトルを見るだけで思い出が沸き上がって来るときちゃあ、作業が遅々として進まないのも道理なのである。

2000年の「ライディング・ザ・ブレット」は、ネットで配信されたっけ。
ネットで配信された原文を、必至で訳してみたっけ。 
死んだと思った人が喋りだしたりして、面白かったな。
そんで、翻訳されて出版に至ったあと答え合わせをしてみたら、全然違うお話で驚いたよね。
え? 「赤ブレット」? 勿論持ってる。
たまに、ブックオフで「赤ブレット」を100円で売ってるよね… 価値が解んないんだよ。 馬鹿だね。
映画? うーん、どうなのかな… 結構ましかもよ。 あれでも。
ネット配信って云えば、アレは? アレ。 「The Plant」。 
未完だよね。 未完。 読みたいなあ… 日本語で!(w)


などなど。


あはは。
これじゃあ、いつまで経っても仕上がらない。


アンダー・ザ・ドーム 上アンダー・ザ・ドーム 上
(2011/04/28)
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アンダー・ザ・ドーム 下アンダー・ザ・ドーム 下
(2011/04/28)
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翻訳ミステリ大賞シンジケート第4回読書会のこと(ネタバレ気味)

2011年6月24日、渋谷は道玄坂にある某貸し会議室に於いて、翻訳ミステリ大賞シンジケート主催による第4回読書会が行われた。

昨年冬(そう?)に行われた第1回読書会(課題本「暁に消えた微笑み」/ヴィレッジブックス)以来の2度目の参加… っつーか、実は、前々回のクリスティ読書会(課題本「ホロー荘の殺人」/ハヤカワ文庫)の際には、失礼にもドタキャン。 しかも、読書会もたけなわの頃になってからドタキャンの連絡をした上、更には(後で聞いた話によると)その私のドタキャン電話が折悪しく発言中の田口俊樹先生の電話に繋がって… と云うおまけ付きの失態を演じてしまったのである。 その失敗の記憶が生々しく、第3回(課題本「七人のおば」/創元推理文庫)への出席は自粛。 今回は満を持しての(?)久方振りの参加… なのであった。
それなのに、急に仕事が忙しくなっちゃって、読了するのに当日の昼まで掛かってしまい焦った。(笑?)

課題本/「ベルファストの12人の亡霊」
      スチュアート・ネヴィル著/佐藤耕士訳
      RHブックスプラス(武田ランダムハウスジャパン)

この課題本。

昨年の今頃だろうか、かなりホンヤクモンスキー界を賑わわせていた作品で、当時「こりゃ、面白い」と云う好意的な感想なども多く目にしたものである。 しかし、個人的には疑問符。 紛争もの(?)である事を臭わせる「ベルファスト」と云う地名や「亡霊」と云う言葉に、人が意味もなく沢山死ぬ小説なのではないか? という危惧を感じ迷わずパスした作品なのである。 恐らくは、この読書会に参加しなければ絶対に手に取らなかった筈の小説だ。 

ストーリーと個人的感想は以下の通り。 
普段は軽く読み飛ばすのがフツーであって、読書会に出るので頑張って分析してみたって感じでお恥ずかしい限り。

主人公のフィーガンは、嘗て、北アイルランドのテロ組織の闘士として恐れられた存在だが、今は、酒に溺れる毎日を送っている。 周囲からは、頭がおかしいのではないか? と勘ぐられ遠巻きにされている。 彼を悩ませている本当の原因は、彼が手を下して殺害した12人の亡霊につきまとわれている事だったが、ある日を境にして、その亡霊たちが、彼に死の責任を取れと云わんばかりに殺害の指令を出した上司や殺害に関わった仲間たちを指差し始めた。「あいつを殺せ」。 フィーガンは、自身の罪悪感も相俟って、亡霊たちの云うがままに殺人を重ねるが…

亡霊たちは、フィーガンが彼らの死の原因を作った人物を殺してゆく度に、成仏してその場から去って行くのだが、章立てが「12人」「11人」とカウントダウンになっているのが余りにも直接的で先ず気に入らない。 だってさぁ… これじゃあ、初手からネタバレしているようなもんじゃない?
そして、途中に差し挟まれる、シャドーキャビネットの大臣と警察署長の会話を中心としたシークエンスの緩さ。 これはお話のおさらいをしているのかな? とは思うのだけれど、別に説明してくれなくても忘れてないし。
更に「亡霊が見える」という事に対するスタンスの問題。 個人的には「本当に亡霊が見える」「亡霊は主人公の罪悪感の投影であり、実際には存在しない」の二通りの考え方が出来るのだから、その辺を曖昧にしておいた方が余韻… っつーか、奥行きが感じられるんじゃないかと思いつつ読み進んだんだけれど、割と直ぐに「この人には実際に亡霊が見えるし、スーパーナチュラルな素養(?)があり、もしかしたら超能力が…」的な所に落ち着いてしまうのである。 何か、勿体ない。
そんで、最後にして最大のポイントが「オチ」。
大体が、「慈悲よ…」でオトしてしまっていいのか?
そして、前回の殺しで12人のツレが出来た訳だけれど、今回の殺しでもツレが出来たら面白いのに、と思ったり。(笑)

ちゃんと読めているかどうかは疑問だが、まあ、こんなところ。

そして、読書会。

いつもの如く、遅刻。
会社の終わるのが18:45なので、どうしても19:00からの開催だと間に合わないのである。
本当にいつもいつもで申し訳ない気持ちだが、こればっかりは…

しかし、今回は15分程の遅刻で済ますことが出来たので個人的には許される範囲かな… と。

出席者は、知っている人も知らない人も合わせて20名強。
田口俊樹先生(きゃっ)をはじめとして、白石朗さん、芹沢恵さんなど蒼々たる翻訳家の先生方や、翻訳ものの編集者の方々、名立たる書評家の皆様、そして、私のような一般人と様々。

以下、皆様の意見を箇条書きにしてみる…

*生きている方も亡霊? 
 既に紛争の日々も遠くなり、抜け殻のようになった人々もある意味では亡霊なんじゃないか。
*亡霊たち… 12人は多すぎるのでは? ←キリスト教徒の関係?(12使徒)
*三人称で書かれているけれど、それで良いのか? 一人称だったらどうだったのか?
*冒頭、一人称で書かれているものが途中から三人称になる。 読み易くなってよかったのでは?
*途中に2回出てくる「バランスと忍耐」という言葉は一体何だったのか?
 →きっと、意味を持たせようとしたけれど、途中で忘れちゃったんじゃないか?
 →映画好きとしては「スターウォーズ」の影響を受けているんじゃないかと思うんだけれど?
 →そもそも、そんなに大事な意味のあるところじゃないんじゃない?
*アイリッシュの幽霊譚の影響を受けているのでは?
*「慈悲」に関して。
 死者の恨みよりも、生者の恨みの方が強いのでは? 彼女は死んでいるから許せるのでは?
*映画「レクイエム」を思い出した。
*主人公のフィーガンが終止亡霊の言いなりになるなど、受け身に過ぎるのでは?
*オチの不自然さは、途中から無理矢理変更したからなのでは? 
 既に続編が存在していることから、勘ぐれば勘ぐれるよね…
*幽霊がもっと頑張った方が面白いのでは? 例えば、外的記憶装置のような働きをするとか…
*ミステリは収束を求めるけれど、本当にそれはマストなのか? 最後が曖昧でもいいんじゃないか。
*彼女は「慈悲」だと云ったけれど、「慈悲」は本当に「慈悲」なのか? 
*いつも周りに12人の亡霊を侍らせていたのに、それがいなくなって彼は寂しいんじゃないのか?
*いきなりやる事がなくなってしまって、この人は大丈夫だろうか?
*シャドーキャビネットの大臣のエピソード(女に財布を盗まれるなど)がかっこわるくて面白い。

色々な読み方があるもんだね!

特に、ラストを「この場合「慈悲」は本当に「慈悲」なのか?」と云う気付きや、「亡霊がいなくなったら主人公が寂しく思うんじゃないか」と云う想像力にとんだ楽しい意見とか、「目標を見失ってしまうのでは?」という一歩踏み込んだ意見には「目から鱗」なのであった。

しかし、思う所も若干。 

今回の課題本のような、割と軽めで、解釈もそれ程違わないと思われる本を肴にした読書会は、議論の持って行き場が少なくなりがちなのかな… と思ってしまった。

もっと、論争の的になるような異なった解釈の出来る本を俎上に上げた方が、面白いんじゃないかしらん。
まあ、20人が感想を述べ合うだけでも相当に時間が掛かるから、実際には論争もしていられないんだとは思うんだけれど。 

それとも、全員が一応読了している前提だし、堅苦しい感想発表は抜きにして、ぶっちゃけ話で盛り上がるのも面白いんじゃないかな~ 

なーんて。

イベントレポートの秘密に迫る!

先日来、ディーヴァー氏のイベントのレポートを作成していましたが… その方法について質問が来たので、公開しようと思います。

勿論、全部を覚えている訳ではなく… 断片的なメモを見ながら、当時の状況を思い出す! という緻密かつ大胆な方法で文章化しているのです。

どのようにして、メモを取って来たのか… と云うと。

iPhoneの手書き入力ツールを使って、聞いた端からどんどんと手書きで書き込んで行きます。
元来、字を書くのが早いのと、今回は要所要所で通訳が入ったので、メモが取り易かった!

ほら、こんな感じ。

秘密メモ

このリストの先に、もっと多くの手書き文字が入力されているんです。
え? 読めないって?

それは当然です。(笑)
正直に云って、自分でも読めない所がありますからね…

ディーヴァーさんの話をきいて思ったことは…

漸くに、先日のジェフリー・ディーヴァーの来日記念イベントのレポートをアップし終わった…

以下は参加してみての感想です。

先ず、彼の「小説はビジネス」である! という断言に非常に感銘を受けました。
小説も一種の「プロダクト」である… と、力強く仰るディーヴァー氏。
わたし自身も、あるジャンルのプロダクト・デザイナーとして日々活動していて、自分自身も「自分はエンドユーザーに何を提供出来るか、どんな風に喜んでもらい、そして、それで売り上げを作るのか」をテーマにしているということもあって、非常に腑に落ちるお話だったんですよ。

だって…「小説」ですよ?
小説ってのは、芸術の一種なんだから、作家さんとしては、自分の云いたいことを前面に押し出して読者はそれについてゆく… という構図なんじゃないかと思う訳ですよ。
しかし、ディーヴァー氏にとっては、それじゃ、アプローチの方法がまちがっている… ということなんですね。

わたしの携わっているジャンルも… 一見、芸術的なイメージがあるんです。
クリエーターの端くれとしては、自分の作りたい物を思い通りに作って、それを選んでくれる人にだけ提供出来たら… と思うことも多々あるんですよ。

でもね、それは「仕事」としてはまちがっている訳です。

最終的には、お客様あっての商品なんだからね。
どんなに、自分とはかけ離れた世界に受け入れられる商品を作らなくてはならないとしても、そのニーズにぴったりと合う、でも、ユーザーに良いもの選んだと云う満足感(新しさ、品質の良さ、センスの良さ)を与えなくてはならないんだからね。

だからね、あのディーヴァーさんでさえもが、自身の著作をビジネスと言い切る… そのことに、わたしはいたく感動してしまったのでした。

そして、トークショーの内容の充実振りが尋常じゃありませんでした。
どんでん返し多発が持ち味のディーヴァー小説がどのようにして作られるのか… そして、その手法を解り易く教示して下さるとともに、ユーモアも交えて飽きさせない。

サービス精神の固まりなんでしょうね…
わたしたち読者を目の前にして、楽しませずには置くものか! という気迫、意気込みが伝わってくると云うか…
その上、ひとりひとりと写真を撮り、サインし、握手し、ちょっとは言葉も交わしたりして… こう云うことを厭わずに行えるのがプロのプロたる所以ですよね。

それでは、貴重な写真をちょっとばかり披露。

花束_convert_20101114185109
花束を貰ってちょっとはにかむディーヴァー氏

ディーヴァー
ディーヴァー氏と握手するユイー

IMG_1413_convert_20101114190107.jpg
これが、ディーヴァー氏のサインだ!

このイベント、最初は参加するかどうかを迷ったのですが… 参加した甲斐がありました。

誘ってくれた(誘ってくれたんでしょ?)tkrさん。
イベントを主催して下さった皆様。

ありがとうございました!

ディーヴァーさんに質問!

ディーヴァーさんへの質問コーナーの記録

「静寂の叫び」以降、あなたの作品が大きく「変わった」と思うのですが?

実は「静寂の叫び」は、アウトラインを精緻に作り上げてから執筆すると云う現在のスタイルに移行してから2番めの作品なのです。 その影響が強いのだと思います。 因みに、現在の執筆スタイルを最初に試したのは「眠れぬイブのために」です。

■「ボーン・コレクター」の犯人って、結局逮捕されていないと思うのですが… 彼はどうなったのでしょうか? もしかして、後々作品に使う予定があるのですか?

ノーコメント!(爆笑) しかし、興味を持っていて頂けると嬉しいですね。こう云ったら解って頂けますか?

あなたの作品には、魅力的な脇役が沢山登場しますね。スピンオフ作品を読んでみたいです。例えば… ライムの盟友デルレイとか、「獣たちの庭園」のアメリアのお祖父さんとか…

それは良いアイディアです。 次のリンカーン・ライムものでは、デルレイはとても重要な役割で登場しますので、まずはそれを読んでみて下さい。 また、「獣たちの庭園」については、もしもあの作品が映画化されたら色々な繋がりもありますし、面白いのではないかと思っています。

あなたの小説は色々な国で翻訳されていると思いますが、それぞれの国によって文化の違いから何か誤解などが生じたりしたことはありますか? 面白いエピソードがあったら教えて下さい。

私の作品は、主に、現代のアメリカの都市文化に焦点を当てたものがあります。これについては世界中のひとがある程度の「現代のアメリカ」というものについてのイメージを持っていらっしゃると思うので、誤解などが生じることは余りないのではないかと思います。そして、内容に関してですが、私は「人の心」の根源に訴えかけるものを主題にしていますので… そういうものは全世界に共通なのではないかと思います。

頑固極まりない性格のリンカーン・ライムですが、彼にモデルはいますか?

私です!(きっぱり) と云うのは冗談ですが、私自身の性格の投影があることは否めませんね。私は通常は、実在の人物をモデルに使うことはしません。想像力に限界が出来てしまうので… 自由度が下がってしまうんです。

最近、ライムのウィスキーの好みが変わったのは何故ですか?(場内よりどよめき)

鋭いですね!(笑)→(この質問の答えだけ聞きそびれてしまいました… 誰か助けて!)
今度はサントリーウィスキーを呑ませます。(笑)

アウトラインは全て忠実に作品に反映させますか?

あくまでもアウトラインですし、製造業の設計図ではないので、完全に図面を引くのは難しいですよね。時にはミューズが微笑んでもっと良いアイディアが浮かびますし、変更もします。最終的には90%程度が反映されていると思って下さい。

「良い編集者」と「悪い編集者」の違いは?

悪い編集者は、作者に作品の内容を変更させようとします。良い編集者は、作家に何処を変えたらもっと良いものになるのかを作家本人が自分で解るように気付かさせてくれるものです。

実際には万能ではない「キネシクス」を作品の重要な素材として使うことの有用性について教えて下さい。

良い所を指摘されましたね!ヒーローも決して万能ではなく弱い所があったり、悪人にも良い所があったりする方が人物に厚みが出ます。読者に共感を持って読んで貰うためには、登場人物にリアルな存在感がなければなりません。そこで、万能ではない手法を取り入れることでリアリティを加味しているのです。

リンカーン・ライムとキャサリン・ダンスの違いについて教えて下さい。リンカーンの好敵手は多くの場合、怪人的な個性を持った人物であることが多いのに対して、ダンスの犯人はもっと庶民的と云いますか… 

凄く鋭い質問ですね! この質問をしたあなたは文芸評論家ですか? 文芸評論家になるべきですよ!(このふたつの質問の主が杉江松恋氏だったため、一瞬、場内が騒然となる)
特に意図的にそうした…というわけではないのですが、二人には大きな違いがあります。
リンカーンはベッドの上に縛り付けられた生活で、ある意味ではとても狭い世界で生きていますので、犯人との心と心の対決が重要になっています。ダンスの場合は、家族との関係、恋人との関係など様々な世界の中で活躍しますので… 自ずから物語の組み立ても違って来ます。

日本の印象は?

今回はビジネスでの来日で、題材期間も短く余り時間がなく残念です。イベントで本屋さんを回らせて頂きましたが、その場所でも、どの国に云った時よりも暖かく迎えて頂き感謝しています。また、日本の人は、本やアートが大好きなのだろうな… と思いました。もっと時間が取れたら、是非、彼女と旅行したいですね。

自由な時間には何をしていますか?

そもそも、自由な時間なんてほとんどないんですが… 普段、暗い部屋で書き物ばかりしているので、友人とパーティでお喋りしたりするのが楽しいです。スキーや、旅行もしますし… それから、寿司が大好きです!

好きな女性のタイプは?

今、アメリカで私の帰りを待っている彼女が理想の女性です!


ディーバーさんへの質問コーナーは以上。

この後、全員の「ロードサイド・クロス」にサインをして頂き、握手まで!
そして、希望者全員にツーショット写真を撮って頂いたのだった。

ディーヴァーさんのイベントで知った情報

トークショーの最後にディーヴァー氏本人より、今後の予定についてのお話があったので、記録しておく。

■アメリカではノンシリーズの作品「エッジ」が既に発表されている。

■次に取り組むのは… イアン・フレミング財団からの指名を受けて、007の新作を執筆!
 
 アウトラインについてのミニ情報は…
  →1)時代は現代。
  →2)ジェームズ・ボンドの年齢は二十代後半?三十代前半のエージェント。
  →3)ボンドは若干若い設定ながら、イアン・フレミングの作り上げた人物造形を踏襲。
  →4)しかし、作品はサプライズ、どんでん返してんこもりのディーヴァー風味満載で行く!

■2012年/キャサリン・ダンスの新作

■2013年/リンカーン・ライムの新作


何と云っても、噂の007シリーズが非常に楽しみ!
ちょっぴり若返ったボンドが、ディーヴァーの手腕でどんな風に料理されるのかに注目したい。
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