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第三回ネタバレ円卓会議/ジョー・ヒル「ホーンズ 角」で遊ぼう!【3/トリビア・音楽編】

さあ、お待ちかねのトリビア編。

その1でも言及しているのだが、この「ホーンズ」。アメリカン・カルチャーに対する知識を持っているかいないかで所謂「読み」に大きな差が出てしまう小説… なんじゃないかしらん。

円卓に集まった猛者たちも口々に「もしかしたら【何か】を知らないがために【何か】が分からないんじゃないか的なぼんやりした恐怖に襲われる」と…

例えば、音楽。

章に「ミックとキースによる福音書」なんて云うタイトルがついている事からも推察される通り、このお話は【ロック】がポイントになっていて、その周辺知識がないとそもそも【そこにくすぐりが隠れている】と云う事すら気づく事がことが出来ない… のだ! だから、オレには全然わかんなかったのだ! (実は、ワタクシ、ポピュラーミュージックに関しての知識がほぼ欠如していて… 知らないものは気づけないし、分からないから伝わらないって云う事が今回凄くよく解ったのでした)

一番驚いたのは、最終章でイグが纏う衣装に関するトリビア。

私が用意した【イグは如何にして赤鬼となりし乎】の3枚目にも描いたんだけれど、イグが路上で調達して身に着けたものとして、ボロい黒のコート、青いレースのスカート、片方だけのソックスが挙げられているんだよね。初読時には、鬼が何でスカート?と云う事に興味が行っていて気にならなかったんだけれど、再読してみて「片方しかない靴下」を一体どうやって身に着けたんだろう? と云う疑問がむくむくと首をもたげて来て…

reddevil03.jpg

付近の記述を追ってみると、イグはスカートを身に着けた後「ソックスはスカートの下に着けた。というのもスカートが短く、人目が気になったからだ。」とある。
片方しかないけれど一応ソックスを足に履いたと云う風に捉えるのが普通だと思うし私も最初はそう思ったのだが…

しかし、待てよ? 「スカートの下に着けた」? 
何で「履いた」じゃない訳? 
それに、「スカートが短く、人目が気になった」って、足に靴下を履いたってスカートが短くて恥ずかしいのを隠す事は出来ないよね?

っつーことは… 局部にソックスを装着???

その発見の驚きがイラストの右下に描いてあるんだけれど、まさに半信半疑。
寧ろ「まさかね? w」っつー気持ちの方が大きかったのだ。

ところが! 
これって、実は【ロック】に絡めたくすぐりだったのだ!
 多分。

何と、【ソックスを局部に装着する】と云うパフォーマンスを、かつて【レッチリ】がステージでやっていた。それを念頭に置いたお遊びじゃないかと思うから、これはユイーちゃんの思った通り、チ○コをソックスで隠したと見るのが妥当… だと、その筋に詳しい猛者が言い放ったのだ!

むむむ! この音楽に疎いわたしでもその存在を知っている【レッド・ホット・チリ・ペッパーズ】がらみのトリビアだったとは!

やるな、ジョー!


そして…
第3章「炎の説教」の最後のシーン【イグとメリンの絡み】に込められたトリビア。
自分の無知をさらけ出すようだけれど、これには全く気づけず、寧ろ、ここって何でこんなヘンな事が書いてあるんだろう… と再読中にも疑問に思ったところなのだ。
もしかしたら、ここは、知っている人に取っては全くトリビアでも何でもない部分かも…

本文475ページ2行目より引用…

「わたしはそうだったと思うの」メリンはいった。「聖書にもそんなことが書いてあったでしょう? 欲しいものが全て手にはいるとはかぎらない、でも何かを本当に必要とすれば、おのずと手にはいるものだ、っていう文句が」
「聖書のどの部分からの引用だい?」イグはメリンにたずねた。「ひょっとして…… <キース・リチャーズによる福音書>か?」 


引用終わり…

この部分、イグの最後の台詞「<キース・リチャーズによる福音書>か?」と云う言葉に全く反応出来なかったのだが… 実は、この直前のメリンの台詞にある、聖書からの引用ってのがミソだった。

曰く、欲しいものが全て手にはいるとはかぎらない、でも何かを本当に必要とすれば、おのずと手にはいるものだ…
これが、【ストーンズ】の楽曲【You can't always get what you want.】をそのまま口にしているのであって、だからこそ、イグは<キース・リチャーズによる福音書>か? だなんて返している訳で…

いや〜、これは、知らんかったし、分からんかった!
でも、きっと、ストーンズに親しんでいる人にだったら、問題にならない明白なくすぐりなんだよな〜。


その他、小さい色々としても…

17ページ/窒息プレイの描写のなかの【松本秀人】への言及とか…(日本のロッカーにも詳しいの?!)

406ページ/テリーの脳内再生場面で、テリーがキース・リチャーズと共演する夢を見ており夢うつつになりながら発する言葉とその後の一連の会話。(以下引用)「この石はなんだ?」リーがいう。「証拠さ」/テリーはひとりうなずき ーーー充分に納得のいく答えに思えるーーー こう答える。「そりゃいい。できることなら、刑務所入りは避けておこうぜ」(引用終わり)
この部分の【石】は原書だと【ロック】(【ストーン】なんじゃないか疑惑があったのだが、そこは穿ち過ぎ…)であり、【キース・リチャーズとロック】そして【証拠】という言葉が象徴的なものとして感じられるとか…

更に!
何と、父君キング御大の向こうを張っての自作との登場人物コラボが隠れているんだよ!

第3章「炎の説教」の中に登場するので、探してみてね!


→ そして、もっとも重大な発見【モールス信号の謎】へと続く



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第三回ネタバレ円卓会議/ジョー・ヒル「ホーンズ 角」で遊ぼう!【2/談論風発編】

円卓に集結したわたしたち9人…(本当は10人だったけれど、ひとり遅刻しちゃってさ…)

そして、俎上にあるのは「ホーンズ 」(以下「ホーンズ」)。

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ジョーのものした「ホーンズ」。 
まず第一に云えるのは印象として【非常に曖昧】と云う事なんじゃないかな。

円卓会議のご意見番tkr氏は云った。「この本を読みながら裏の意味を妄想するのが楽しくて…」
つまりそれだけ、妄想を働かせる余地があるってことで…

他の参加者からも、現代アメリカ文化に詳しくないと分からない仄めかしや暗喩が沢山ある/ありそうだし、何かを指し示しているようでいて、それが何だかはっきりとは分からず、それは知らないから分からないのかそもそも書いていないからなのかも分からずにもやもや… とか、仄めかしがあっても行く先がない(回収されない)のが気になる、とか、登場人物の性格も何やら揺らいでいてそこがスリリング! など様々な曖昧さに関する意見がでた。

登場人物の性格描写や起こった事件の顛末など視点を変えて何度も描かれるんだけれど、どの場合もそこに客観性が欠けていて、実際には何が起こったのかとか、この人物って本当にこう云う人間だったのかなど話せば話すほどに謎が広がって行くって云うのは珍しいんじゃないかな。

実は、わたしも、円卓会議のために「ホーンズ」を再読していてストーリーが一寸曖昧なんじゃないかと思ったし、更にイグの赤鬼になった姿をイラストに書こうと思って彼の外見に関する記述を探す過程で、登場人物がどういった姿をしているのかもはっきり描かれていないことに気づいたんだよね。 具体的には、イグってどうやら【若いのに髪が寂しく】【山羊鬚を生やしていて】【極度に痩せている】くらいしか発見出来ず、リーに関しても同様で、彼らの絵を描くのに困ったのだった。

そして、アメリカンカルチャーに関連するんだけれど、【ロック】に対する知識がないと辛い… っていうのが一致した意見だった。

■登場人物に関して。

主人公の赤鬼イグ… 彼って、有名人一家の中のみそっかすみたいな存在で非常に善人である筈なのに、何故か物語の中での人物評価が低いのが話題に上った。確かに、そう。彼は強姦殺人の容疑者で証拠不十分でお縄にならなかっただけとコミュニティの中で目されている訳だけれど、何故誰も彼を信じてくれないのか…が謎なのだ。子どもの頃から「気味が悪い」と母親に思われていたって云う記述すらあるから、一見そういう風に見える人だったのかもしれないけれど(所謂オタク?)、それにしても、だからと云って「地獄」の章での仕打ちはあんまりかな。

読者から見ての主人公としての魅力と云う点でも「イグの良さが分からない」「鬼になってからの迫力もない」「うっとうしい」など辛口意見が多数噴出。敵役のリーが「フィクサー的イメージでカッコいい!」「月を修理するとか何者?!」「クール!」「鬼の好敵手としてもっと活躍するのかと思ったのに… ガッカリだ!」と大人気だったのと好対照なのである。

メリンは謎の女… 前段にも書いたけれど、彼女の行動には謎が多く、本人が亡くなっているためにイグの側、リーの側、テリー(イグの兄)の側とそれぞれ違う視点から【彼らが「こうだ」と思うメリンの姿】が描かれているに過ぎないのがポイントである。ラスト近く、ありがちな純愛ドラマ的に彼女の謎の行動の回答が一応は示されているけれど、「実はビッチだったんじゃないか?」と云う推測もあながち間違いではないかも知れない。

■物語に関して。

ホーンズ」は【地獄】【チェリーの木】【炎の説教】【修理する者】【ミックとキースによる福音書】の5つの章からなる長編小説だが、章それぞれが独立した短篇小説とも取れる作りとなっている。そして、章ごとに(また章の中でも)時系列が錯綜していて【地獄】が現在、次の【チェリーの木」は過去と云った具合に入り組んでいるということを未読の向きには前提としておいて欲しい。

今回の参加者の間では、最初の章【地獄】の人気が非常に高かった。救いのなさと勢いのある展開で印象的かつリーダビリティの高さが凄い。「勢いがあって好き」「カフカみたい」「内容が重く読むのが辛かった」などの感想が出た。ところが次に続く【チェリーの木】が一転、イグとメリンの出逢いを描くポエティックな章となっており【地獄】との差に戸惑いを覚えたと云う意見が多かった。この章はまるでキングの作品を読んでいるようなノスタルジックなイメージであり、まさにキングの代表作「IT」を彷彿とさせるエピソード/「新聞紙で作った船」/などが散見されると云う指摘があった。【地獄】の章を読んで既に起こった事件に関しての情報があるだけにイグとメリンの純愛に切なさを感じたという感想もありつつ、しかし、ここで「物語が失速」と見る人もおり、第一長編の「ハートシェイプト・ボックス」も最初の盛り上がりから一転して失速というパターンだったので、これがこの人のスタイルなのでは? と云う鋭い意見も…

物語のまとめ方としては、最後に明らかになるメリンの状態に関して、こう云う話に落とし込んじゃうの? と云う否定的な意見もあり、一方、こう云う今更な話に落とし込んで、尚かつ、それを読ませる話に持ってゆく力量に感心した!と云う意見もありの賛否両論だった。

個人的には、短篇風の仕上がりになっていることで、各章の繋がりがなくひとつの物語として寸断されているような気がしていて、いっその事、思い切って連作短篇のようにしたらいいんじゃないかと思ったのだった。
キングの作品も過去と未来が行き来する構成であることが多いが、正直に云って「ホーンズ」は圧倒的に分かりにくい。まだまだ父親の域には達していないな… と意地悪にも思ってしまうのである。(比べたからってどうにかなるってことでもないしそんなことしても無駄だと分かっているのだが人情としてつい比べちゃうのだった)

→【3/トリビア編】に続く… 

第三回ネタバレ円卓会議/ジョー・ヒル「ホーンズ 角」で遊ぼう!【1/資料編】

2012年 7月21日(土)14:00〜17:00
第三回 ネタバレ円卓会議開催
課題本 ジョー・ヒルホーンズ 」/訳 白石 朗/小学館文庫/¥933(税抜き)

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既に、短編集「20世紀の幽霊たち」、第一長編「ハートシェイプト・ボックス」と2冊の邦訳が刊行されているジョー・ヒルの三冊目「ホーンズ 」が今回のお題。

著者のジョー・ヒルの本名は、ジョー・ヒルストローム・キング。両親はスティーヴンとタビサのキング夫妻。

短編集「20世紀の幽霊たち」は【ブラム・ストーカー賞】【英国幻想文学大賞】【国際ホラー作家協会賞】の短篇部門賞を受賞。初めての長編である「ハートシェイプト・ボックス」も【ブラム・ストーカー賞】【ローカス賞】の第一長編部門で受賞している。
当初、キングの息子であることを隠してデビュー、実績を残すも雑誌の暴露記事を切っ掛けに2007年、事実を認める。

★本人サイト

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いらっしゃいませ。 
円卓会議へようこそ…
 
看板
 
夏とは思えない涼しさの中、円卓のある会議室に三々五々集まるメンバーたち。
今回、三回目となる円卓会議は、既に、始まる前から熱かった。
 
会場の様子

いつも、沢山の資料と若者らしい夢と希望を運んでくる最年少【よしだくん】が、今日も素敵な資料とともに登場! 今回、彼が用意してくれたのは… 

1)原書「ホーンズ」限定版からのお宝資料、その1。
  ジョーの繰り言エッセイ。彼が如何にしてこの本を書き上げたか… に関するエッセイ。
  そして、それをよしだくん自身が訳してくれたもの。(訳文ありがたし!)

1 wreckage

訳文

2)原書「ホーンズ」限定版からのお宝資料、その2。
  一般に普及している版に欠けているまるまる三章分の削除された本文。
  この章にのみ登場する主人公イグのおじいさまのお名前が… うわぁああ!

2 note-x

3)原書の表紙裏に印刷されている「モールス信号」のコピーとそれを繙く際の
  コード表。→ その後、このモールス信号を解読した事からとんでもない事に…

モールス 
 
4)よしだくんと某翻訳家さまの秘密の往復書簡(ちらっと見ちゃった…)や会議室
  からギデオンまでの経路(オモシロイ!)をまとめたファイル。
 
往復書簡/名刺
 
5)「悪魔を憐れむ歌」の歌詞など
 
悪魔を憐れむ歌

そして、原書2冊(限定版と普及版?)、関連書籍5〜6冊、キンドル版の「ホーンズ」など…
本当に、いつもありがとう!

そして、ぎゃーさんは… 自宅の膨大なCDのアーカイブから「ホーンズ 」に関連するストーンズの楽曲の歌詞カードを用意してくれました。 
そして、【You can't always get what you want.】に関する発見が…

そして、なんだかんだと云って一応主催者(?)であるワタクシも、こんなものを用意してみました。
自分にしか出来ないものを… と思って… 

イグが悪魔になる過程を章を追いつつイラストで作製したレジュメじゃないレジュメ三枚です。(恥ずかしいのでサムネイルで… w 何しろ、イグの山羊鬚を描き忘れちゃってて…)
 
reddevil01.jpg reddevil02.jpg reddevil03.jpg

更に、こう云う集まりで気になる【本人特定】を円滑に進めるための必需品、名刺… 今回も、こんな名刺を某同居人の協力により作成、参加者全員に配布いたしました。

名刺


そんなこんなで始まった、第三回 ネタバレ円卓会議! 「ホーンズ 」!
遅刻者をひとり出しながらも、構わず開始、です。




ネタバレ円卓会議のこと

去年の夏、キング御大の久し振りの超大作「アンダー・ザ・ドーム」を切っ掛けにどういう訳かはじまった読書好きによるお話会、それが【ネタバレ円卓会議】。

この会の理想型として考えているのは…
形式張らない自由な発言の場であり、喋りたい人は喋り喋りたくない場合は黙っていてもOKで、幹事は会合の場所と会費と二次会の心配だけすればよく、何かやりたくなったら「やるよ」と声だけ掛ければよく、何か用意したい人は自主的に用意して、何も用意したくなければ別になんにも要らない… 的な…(コレだと一番大変なのは宴会の用意をする人…)

読書会と銘打ってしまうとどうしても、「課題本を研究してレジュメを作ったりしなきゃいけないんじゃないか?」 と云う強迫観念に駆られちゃうので、わざわざ【円卓会議】とか何とか訳の分からん名前を冠して、楽しさをアピールしてみたり。

異論はあると思うけれど… いいじゃん、別に。

だって、今時、中途半端なレジュメなんて要らなくないか?
例えば、興味さえあって調べる意思さえ固ければ、オレが前日にテキトーに調べてやっつけ仕事で作ったレジュメなんかよりもずっと価値の高い色々について調べられるでしょ、今の世の中。
勿論、ちゃんと力を入れて作る資料だったら話は別だけれども…

でも、そんな事に腐心して萎縮してしまうより、気軽に行動を起こした方が楽しいじゃん。
楽しく読んだ本について楽しくフレンドリーにぶっちゃけでネタバレ話をした方が面白いじゃん。

…と云う訳で、年に何回か不定期でやりたくなった時にこの会をやっているのである。

個人的には、課題本すらいらないような気がしているくらいなので、その内【お薦めの本を持ち寄る会】とかもっと広いテーマで集まったりするのもいいな… って思ってるのであった。



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