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18/藤原敏行朝臣 すみのえの

住之江の 岸に寄る波 よるさえや
夢の通ひ路 人目よくらむ



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住之江の岸に寄せる波… その「よる」波のように訪れる「夜」に見る夢の中でさえ、わたしはあなたへの恋路を人目を忍ぶように隠さなければならないのでしょうか…

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岸に寄る波が「夜」を誘引。 「夜」という言葉に掛かる「序詞」だそうですが… これは、正直言ってかなり強引に感じちゃいますね。 しかし、この時代こういう風に何でもかんでも言葉遊びにしたがるっつーか… 日本人って、老若男女区別無く、一般的に「駄洒落」が大好き何じゃないかと思うんですけれど、平安の昔からこうなんだから、仕方ないですね。(笑)

それから、「人目 よく らむ」というのは、一寸意味の取りにくい分なんですが、「人目」が文字通り「他人の目」、「よく」は「避ける」という意味で、現代の言葉で云うと「よける」に当たります。(多分) 「らむ」は推量の助動詞です。

平安の恋愛シーンでは、「夢」が意外にも重要…
好きな人の夢の中に出て来たり、好きな人を夢に見たがったりでもう大変です。 
この歌は、そう云った、夢の中の逢瀬でさえも、人目を忍ばなければならないなんて… という苦しい胸の内を現しているのですけれど… 

これって、誰が主役なのか今一歩解らないんですよね。

色々な解釈を探してみましたが、歌を読んでいる本人が主役(人目を忍んでいる)というものもあれば、歌を読んでいる人が恋している誰かが主役(人目を忍んでいる)とするものもあり… と、入り乱れています。

わたしとしては、歌を詠んだ本人、彼自身の胸の内だという解釈が妥当と思います。 
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17/在原業平 ちはやぶる

千早ぶる 神代も聞かず 龍田川
からくれないに 水くくるとは

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様々に不思議な事があったという神代の昔でさえ、こんなことはなかったはず!
龍田川が、紅葉の紅色で、こんな風に水をくくり染めにしているなんて!

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有名な落語「千早ぶる」の元(?)となった和歌ですね。
あの落語の所為で、この歌を失念する事は絶対にない! と断言出来るほどですが、実際の歌の方も、ビジュアルに訴えかける良い感じの歌です。

冒頭の「千早ぶる」というのは、「神」に掛かる枕詞です。
神代とは、大昔の神々の時代、程の意味で、神々の手によって不思議な出来事が様々に起こっていた太古の昔にも、こんな事が起こったなんて聞いた事も無い! というかなり大袈裟… っつーか、ダイナミックな表現がされています。
この時に龍田川は、紅葉の落ち葉で埋め尽くされて、さぞや、真っ赤に染まっていたんでしょうね?。 からくれないとは、中国=唐(から)の紅という事で、非常に鮮やかでエキゾチックな色のことを表していると思われます。 「水くくる」というのは、一見「?」な言葉なんですけれど、水を「くくり染め」=「絞り染め」にしている… という意味なのだそうな。 龍田川を彩る真っ赤な紅葉を、まるで川を絞り染めにしたような… と比喩している訳です。
龍田川は、紅葉の名所で知られる、奈良県斑鳩町にある龍田山のほとりに流れている川だそうです。

因みに、落語「千早ぶる」についてはこちらまで…   

16/中納言行平 たちわかれ

立ち別れ いなばの山の峰におうる
まつとし聞かば 今かえりこむ

 
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お別れだね… 今、僕は行ってしまうけれど、そうだな… あのいなばの山に辛抱強くしっかりと生えている松の木ではないけれど、君も僕の事を待っていてくれるかな。 
もしそう聞いたなら、僕は直ぐに帰って来るよ…(赤面)
 
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…という、何だかロマンチック系の歌なのである、多分。

ところで、ちょっと調べてみたのだが、行平氏は「因幡の国」に赴任した事があるのだそうな。

つまり、歌の冒頭で「いなばのやま」となっているのは…
先ず、表記通りの「いなばのやま(鳥取県稲葉の山)」
そして、「去なば」を掛け
更には、赴任先である「因幡」も表すと云う、トリプルミーニングなのである。 
勿論、「まつ」は「松」であり「待つ」である、というおまけもついている。
 
本当に和歌を詠むには大いなる教養とウィットが必要なんだな… とあらためて思う。

15/光孝天皇 きみがため 

君がため 春の野にいでて若菜つむ
わが衣手に雪は降りつつ

 
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あなたの為に… 春の野に出て若菜を摘んでいるんです。
わたしの衣の袖の上に、雪がちらちらと降っては融けていますよ。
 
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これって、特に何と云う事もない情景描写の歌なのに、とっても有名だし、忘れちゃう事もないな。
個人的には、一番の天智天皇「秋の田の」と似ているのが気になる。 歌留多をしていて「わがころもではつゆにぬれつつ」と見間違い、お手付きしてしまう事もしばしば。(笑)

14/河原左大臣 みちのくの

みちのくのしのぶもぢずり誰ゆえに 
乱れそめにし我ならなくに

 
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ああ… 14番はこれか…

この歌って、一応覚えてはいるんだけれど、意味が今ひとつ見えないんだよね。
っつーか、一体何?「しのぶもぢづり」って?
 
ちょっと調べてみよう。
 
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ああ! 成る程!
よく解んない言葉って、固有名詞である事が多いけれどこれもそうか。 陸奥国信夫(しのぶ)特産の「摺り染め布」のこと… なんだって。 捩れた摺り染めなので模様が乱れているらしく、その乱れた模様と恋に乱れる心を掛けているんだって。 
 
詰まり、意味は…
 
陸奥産の「しのぶもぢ摺り」の乱れた模様のように私の心は乱れてしまっている…
しかし、一体誰の所為でこんなに乱れ始めてしまったのか… それは、私の所為ではないよ。(きみの所為だよ…)
 
って感じかな。

しのぶもぢずりの「しのぶ」は、恋を「忍ぶ」とを掛けているとも取れるし、乱れそめにし… の「そめ」は「染め」と「初め」の掛詞で且つ「しのぶもぢずり」との縁語。
 
一寸ビジュアル系の歌だね。

13/陽成院 つくばねの

つくばねの峰より落つる みなの川
こひぞつもりて 淵となりぬる


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筑波山のさ、てっぺんから流れて来るみなの川が作った淵みたいにね
僕の心にも恋が溜まりに溜まって、淵みたいに深くなっちゃったんだよ…
 
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結構、解釈の簡単な歌かと思ったんだけれど、意外にも複雑っぽい?
 
筑波山から流れて来る「みなの川」… の「みな」ってのが、川蜷の意味があるらしく、川の泥の中に棲む貝と関連した音である「こひ」を導く言葉なんだって。 「こひぢ」=「泥濘」で泥と関係があるらしい。
その上、「こひぞつもりて 淵となる」というのは、恋心(思い?)が深く深くなるという愛情の量ではなく、川のよどみを表す「淵」に溜まる泥のような、なんつーかどろどろしたどうしようもない悩みに取り憑かれている、と云う、悩みの量を云っているっぽい。
 
ひた向きさではなく、実は怨念の籠った歌なのである!
 
… 否、多分 …


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努力目標として、一日一首のお勉強。
 
覚えていた筈なのに記憶の迷宮で迷子になってしまいがちな歌のひとつひとつを主に意味を理解する事で半永久的に記憶に留める! これがこのミッションの最終到達地点なのである。

12/僧正遍昭 あまつかぜ

天つ風 雲のかよひぢ吹き閉じよ
乙女のすがたしばしとどめむ

 
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大空を吹き渡る風よ。
雲を吹き寄せて、天に通じる道を閉じてしまってくれないか?
そうすれば、この天女の姿を引き留めておけるんだけれど…
 
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あまりにも有名な、僧正遍昭のこの歌。
これって、一番、人口に膾炙している歌なんじゃないかな… それに、歌留多取りの時も、凄く狙っちゃう歌でもある。 これを取れなきゃってね。(笑)

11/参議篁 わたのはら

わたの原八十島かけてこぎ出でぬと
人には告げよ海人のつりぶね

 
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海原を、数知れない沢山の島に向って漕ぎ出したと
世間の人に教えてくれよ、海で漁をしている釣船よ
 
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参議篁(さんぎたかむら)が、都から島流しにされた時に詠んだ歌なのだそうな。
諦念と云うよりも、寧ろ挑戦的な感じ?
 
世間の人に向けてと云うより、都の人に向けての叫び(?)かな。

小テスト/1

小テスト/1
 
【問題】百人一首の1番から10番までを、作者とともに書きなさい。
 
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1/天智天皇 
  あきのたのかりほのいほのとまをあらみ
  わがころもではつゆにぬれつつ
 
2/持統天皇
  はるすぎてなつきにけらししろたへの
  ころもほすてふあめのかぐやま
 
3/柿本人麻呂
  あしひきのやまどりのおのしだりおの
  ながながしよをひとりかもねむ
 
4/山部赤人
  たごのうらにうちいでてみればしろたへの
  ふじのたかねにゆきはふりつつ
 
5/大伴家持
  かささぎのわたせるはしにおくしもの
  しろきをみればよぞふけにける
 
6/阿倍仲麻呂
  あまのはらふりさけみればかすがなる
  みかさのやまにいでしつきかも
 
7/猿丸太夫
  おくやまにもみじふみわけなくしかの
  こえきくときぞあきはかなしき
 
8/喜撰法師
  わがいほはみやこのたつみしかぞすむ
  よをうぢやまとひとはいうなり
 
9/小野小町
  はのないろはうつりにけりないたづらに
  わがみよにふるながめせしまに
 
10/蝉丸
  これやこのゆくもかへるもわかれては
  しるもしらぬもあふさかのせき
 
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ああ、取り敢えず、覚えたっぽい。 
うろ覚えだったものも覚え直したし、懸案だった「作者を歌と結びつける」事も出来た。
やはり、意識してお勉強するとちょっと違うな… これが末永く定着する様に毎日頑張って暗唱したいと思う。 
 
次は、11番?20番まで。

10/蝉丸 これやこの

これやこの行くも帰るも別れては
知るも知らぬも逢坂の関

 
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まさに、ここだよ、ここ。
ここから旅立ってしまう人は、それを見送って帰ってしまう人が別れて行くし、そして、知っている人も知らない人も、ここでまた出会ったりしているんだよね。
それが、ここ、逢坂の関なんだよね。
 
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言葉のリズムが楽しい歌。
これ、この/ゆく、かえる/しる、しらぬ…
 
ところで「逢坂の関」というのは、東の国と都の圏内との境目の関のことで、現在の滋賀県にあるらしい。 百人一首では時折見掛ける詞… 清少納言の歌にもあったよね。(多分)
こう云うのは「歌枕」と云って、和歌のなかに出て来て、何らかの印象を加味する地名のことなんだけれど、何か特記事項のある事が条件なのかな? この「逢坂」は、東に下って行く人の空しさとか、別れとか出会いとかを感じさせる歌枕にぴったりの地名なんだろうね。
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