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図書倫理委員会の黎明

21世紀初頭。

出版業界は危機に瀕していた。

その危機は、深く潜行する形で長い期間を掛けて水面下で進行し、そして、突如として顕在化した。

平仮名と片仮名の含有率が高く、紙が厚く、活字が不必要に大きく、或は幼稚で、或はあざとくも姑息に人のエモーショナルな部分にだけ訴求するような内容がなく… 気付くと書籍市場は「ゴミの山」と化していたのである。 比例する様に、読書人口は減り続け、垂れ流される情報は刹那的で、一過性のものばかり… 心ある人は、文化の衰退を憂え、その状況に頭を抱えるばかりであった。 その上、熱帯雨林の大量伐採による地球環境への悪影響が全世界的に声高に叫ばれる様になり、国際的にも、殆ど意味のない活字情報を印刷する為に大量の上質な紙を浪費している日本、またその首脳陣に対する風当たりが日増しに強くなっていた。

折しも、その頃、電子書籍の一般的スペックが確立され、電圧を変える事で文字の表示が可能な紙状のディスプレイ製造技術が飛躍的な進歩を遂げていた。 政府は、その技術に目をつけ、書籍に対する一大改革を決行する準備を始めたのである。

21××年。

政府による戒厳令が施行される。

1/紙媒体書籍の一般への流布の禁止。
2/国民一人一人への電子書籍端末の支給。 
3/一般書店は、ダウンロード拠点として整備。
4/一般図書館は住民サービスとして、ダウンロード拠点として整備。
5/紙の本は、知の保存を目的として政府の権限で作成し、電子書籍を製本して全国五カ所に設けられる、国営図書館に保存する事。
6。政府は、電子書籍の中から「知識の保存」目的として適切でなく、保存する価値のない書籍を審査する「図書倫理委員会」設置する。

かくして、強大な権力を保持する「図書倫理委員会」が発足した。
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